特集 長野電鉄8500系
※おことわり
以下に記載する内容については、筆者本人の経験と推測より記述されているものが多く存在するため、
事実とは異なる可能性が十分あることを承知された上でご覧くださるようお願いいたします。
1.形式概要
2002年春、田園都市線に5101Fが投入され、翌年には半蔵門線直通による東武伊勢崎線・日光線との相互直通乗り入れが開始された。その中において8601F・8602Fは5000系6本体制の置き換え対象として離脱していった。その後、一部の中間車は8620Fなどに編入されて現在でも活躍をしている。編成中、余剰となった車輌は解体の道を歩んだが、両先頭車は免れて、長く長津田検車区の奥に留置されていた。8602が快速三越前行きを出していたのも懐かしいが、2005年初夏に用途が発生したため、工場へ深夜の回送を二日にわたっておこなった。また、5107Fの投入により8603Fが離脱し、両先頭車と後期型MMユニット、中間付随車である8903・8908は解体されずに工場へこれも回送されている。
夏に元8601以下3連と元8602以下3連は検車区へ戻り、部品取りM車と共に旅立った。行先はしなの鉄道屋代駅で上越線まわりの回送であった。
2.形式
改造されたあとも既存の形式を掲げたままなので、それを利用する。
2.1.各車の最終経歴と現状
Mc
| 旧車号 | 新車号 | 方向 | 最終所属 | 搭載機器 | |
| 8501 | 8501 | Mc | 終点方 | 長津田 | CH |
| 8502 | 8502 | Mc | 終点方 | 長津田 | CH |
| 8511 | 8601 | Mc' | 起点方 | 長津田 | CP |
| 8512 | 8602 | Mc' | 起点方 | 長津田 | CP |
T
| 旧車号 | 新車号 | 最終所属 | 搭載機器 | |
| 8903 | 8551 | T | 長津田 | MG |
| 8908 | 8552 | T | 長津田 | MG |
MM’(予備)
| 8718 | 不明 | M | 長津田 | CH 予備車 |
| 8824 | 不明 | M' | 長津田 | 予備車 |
2.2.編成組成
上段:旧形式
下段:新形式
<終点方 起点方>
T-1編成
| Mc | T | Mc' |
| 8501 | 8903 | 8601 |
| 8501 | 8551 | 8511 |
T-2編成
| Mc | T | Mc' |
| 8502 | 8908 | 8602 |
| 8502 | 8552 | 8512 |
2.3.各形式
| 8511山側 |
| 8551山側 |
| 8501山側 |
3.改造点
3.1.編成上の改造
田園都市線・東横線で使用されている、またはされていた頃の8500系はMM'ユニット構成を隣り合った状態で編成しているので、今回の長電用8500系はMc+T+Mc'となりイレギュラーな編成であることがわかる。そのためT車にはなかった主電動機への配線が新たに追加された。また、一部の機器は耐雪仕様としてケースに入れられている。伊豆急仕様とはことなり、なるべく簡素な改造とする努力が見られ、長電で活躍中の同車は東急時代と変わらない部分が大半である。
3.2.主回路
3.2.1.集電装置系
スリ板は東急時代と変更され補助ホーン部のRが小さいものとなった。筐体自体は同等品と思われる。
| ▲集電装置 |
パンタグラフのカギはずしが手動となったため、妻面まで作用線を伸ばしているが、そのままでは避雷器に支障するので、避雷器をbR・4の空調装置間に移動した。これにより配線は山側を経由して伸ばしてある。
| ▲8502屋根上 | ▲8501山側 |
3.2.2,主制御装置
東急時代と外観は変わらないものの、2M力行時に電流計が400Aしか触れないところと、MT比が4:1>2:1となった点を考慮すると限流値は抑えてあるものと推測される。これは空転防止のためで回生制動時にも滑走防止で400Aしか流れない。回生失効速度は25km/hで東急時代より高めなのは列車本数・変電所容量・MT比が考えられる。
3.2.3.保安ブレーキ
新たに保安ブレーキとして機器箱が追加されている。これはブレーキ制御装置のバックアップとして別回路を設けたものと思われる。
| ▲ブレーキ制御装置・保安ブレーキ(8511) | ▲保安ブレーキ(8551) |
3.3.補助回路
補助回路はMGをそのまま利用しているが、主な用途は保安機器・空調機器用である。
3.4.車体
表記類は社紋・車号(当該号車)を交換している。検査表記については要検並施だったので「長津田工場」のものとなっている。要検時に磨き上げが行われ、シール除去跡(携帯・優先席関連)はなくなっている。
前面側面の行先表示器はLEDタイプに取替えられ、運転台設定器も交換されている。
| ▲長電社紋 | ▲8552(8900)検査表記 |
3.4.1.室内
運転台仕切戸車内側かもいには一部の車輌にローレル賞受賞のマークが残されたままだが、東急側で保管を目的に撤去されたと思われる。後述のT車仕切戸追加に伴い、T車妻窓が2枚ふさがれている。
バリアフリー関連として各ドアにドア開閉合図のチャイムとLED車内表示器を追加している。LED車内表示器は千鳥配置。
| ▲車内(8552) | ▲ローレル賞受賞プレート(8512) | ▲表記類 |
| ▲足元ヒーター増設 | ▲足元ヒーター増設 | ▲東横車輌電設施工 |
| ▲試作モケット | ▲試作モケット | ▲試作モケット(優先席) |
| ▲試作モケット | ▲試作モケット | ▲号車表示はなし |
| ▲ドアチャイム | ▲LED表示装置 | ▲消火器(東急表記のまま) |
3.4.2.妻面
前述のとおりMc車はパン上昇がワイヤに変更されたため、配線が追加された。
T車は田都線8604F〜8630Fの8号車(サハ8900)に施してある一枚式の貫通扉が両車端に追加されている。また、元3号車である8903号車はIRアンテナを撤去している。IRアンテナ部分の車端外ホロは長さが短いものが装着されているが、撤去跡には同じものがもう一枚追加されている。
| ▲8552貫通扉 | ▲貫通扉追加部 | ▲IRアンテナ撤去後車端ホロ部 |
3.4.3.座席
先頭車はそのままの配置であり、優先席も同様。中間T車は更新施工車であり、バッケット型の座席となっている。なお要検時に繊維座布団への張替えが行われている。さらに8723+8049のデモカーで登場した新規モケットの座席をT車の一部に装着している。
3.4.4.運転台
速度計はATC撤去のため、信号器は撤去されたが、メーター類の配置などは変更されていない。
ワンマン・ツーマンの切換・レールヒータ切入などのNFBと無線機を新たに追加している。
| ▲運転台 |
助手側には特殊信号発報器の追加、保安装置切換器の交換、前面窓への「ワンマン」表示追加・編成番号追記が行われている。
| ▲ワンマン表示・編成番号(T12)・ATS切換器 |
3.5.そのほか
台車にレールヒーターを装備している。
8551のbQ台車に塗油器を装備
| ▲塗油器 |
3.5.1.空調装置カバー
長電向け装備として新たに空調装置の開口部ふさぎカバー受けが新設された。これはFRPキセの通気開口部に冬季の積雪対策として従来車から装備しているものでアルミ枠が設けられている。
| ▲空調装置 | ▲空調装置 |
3.5.2.保安装置
田都線時代は軌道回路式CS-ATCであったが、長電はATS区間であるため両先頭車にATS車上子を装備している。
| ▲速度計(既存のまま) | ▲ATS車上子 |
3.5.3.部品取り用予備車
今回の8501〜・8502〜のほかにMMユニット1ユニットが送られている。車号は8718・8824(元8603F)である。
3.6.今後
今後、3両×5本程度の導入を考えているそうで、東武非乗入車の半分くらいは長電へ送られるのではないかと予想される。
20051204 公開
20051207 修正
20060324 修正